メリル・ストリープ主演映画の「恋するベーカリー」
「プラダを着た悪魔」ではエレガントでクールなファッション誌編集長を演じた彼女。
今回はベーカリーを経営する女性実業家。
10年前に離婚したが、ベーカリーの経営も順調で、友人との触れ合い、
3人の子どもを育てなどシングル生活を満喫していた。
子どもの大学の卒業式のために行った、
ニューヨークのホテルのバーで元夫と再会し盛り上がって・・・
中年の男女の心の葛藤や揺れ動きを描き、
親としての立場と個人としての恋愛感情など、
決して綺麗ごとではない心情がつづられている。
それにもかかわらず観終わったあと、なんとも清々しい気持ちになるのは
成功も失敗も含め様々な経験をしてきた男女の、人生を前向きに幸せに進みたいと言う
希望に包まれているからなのだろう。
全篇を通じて、
至るところにキッチンでの楽しい料理シーンがちりばめられ、
家族がそろってママの手料理を食べるシーンや、女友達を集めての食事におしゃべり、
そして男性へ振舞う手料理の数々。
幸せな光景のなかに食卓があり、キッチンがあり、手料理がある。
美味しい料理があたたかい人間関係の象徴になっているように見える。
料理を作る主人公を中心とした、あたたかな人間関係。
美味しい料理が人生を豊かにすると言うことが、するりと入ってくる。
メリル・ストリープの品格があり、人間味のある演技。
そしておいしそうな手料理の数々。
楽しそうなキッチンでの振舞い。
そうした要素が暗くなりそうな気持ちを明るく見せている。
幅広い年齢層に支持されそうな、ハートウォーミングストーリー。
豊かに生きることと、おいしい食事が、
見た目にも美しく結びついた、とても清々しい映画。