6月18日 富士フィルムのデジカメFINEPIX PX10を修理に出した。
同社のサービスセンターは宮城県栗原市。
住所を見たとき、震災の影響で物流が滞ってないのか一抹の不安を覚えながら、
近所のコンビニから修理品を宅急便で送った。
6月18日(日)に発送して、サービスセンターに到着する予定日は20日(火)だった。
発送する時、どうせ1万円ちょっとで買った安いモデルだったし、
防水、耐衝撃性のある機種だったのでエアキャップに包んで簡単に封筒に入れて送った。
正直、今回の修理は液晶交換が明らかだったので、
修理に出す方が、郵送料や相手側のコストを考えて割に合わないことはわかっていた。
しかし、ものつくりに携わる者の性か、製品を大切に使ってあげたいという気持ちに駆られて、
面倒だなという気持ちを抱きつつも修理依頼することにした。
発送して22日の木曜日、夜仕事を終え帰宅すると、
ポストの中に富士フィルムのサービスセンターから不在通知が届いていた。
郵送のタイムラグを考えると、
20日サービスセンターに到着、
21日には修理完了して航空便で即発送、
22日に東京の我が家に到着ということになる。
ずいぶん早い対応だから、もしかしたら保証不可という内容で送り返されたかと邪推をしてしまった。
それから荷物を受け取り、自分の余計な推測を恥じた。
受け取った段ボール箱の外装にこんなラベルが張ってあった。
がんばろう!日本
東日本大震災にて被害を受けられました皆様には、心よりお見舞い申し上げるとともに、
一日も早い復旧をお祈り申し上げます。
宮城県栗原市にある弊社修理サービスセンターも甚大な被害を受けました。
しかし、多くの方々の支援をはじめ、_”お客様の大切なフォトライフのお手伝いをしたい”
という強い気持ちから、業務を再開することができました。
弊社、復興の【証】をお届けしますので、ご査収下さい。
引き続きご迷惑をおかけすることとなり誠に申し訳ございませんが、
何卒ご了承賜りますよう、重ねてお願い申し上げます。
受け取ったとき、
サービスのスピードと丁寧な梱包に仕事への心意気を感じた。
日通航空による航空便のラベルも貼ってあった。
そして「がんばれ!日本」のラベルを見て鳥肌がたった。じわじわと涙腺が緩んできた。
宮城県栗原市はボランティアで二度訪れた地域、歌津や女川の近隣だ。
RQ東北現地本部がある登米市の隣の市。
津波の被害を受けた沿岸地域から通勤していた人もいるのではないだろうか。
修理を終えたカメラを受け取り、
栗原市のサービスセンターの人々の気持ちがずんずんと伝わって来た。
現地の雇用を守ろうとする富士フィルムの姿勢、
雇用の観点から現地経済を支え、現地の人々も誇りを持って仕事をする。
社員と会社が一つの方向を向いてユーザーに応えている。
同じ製造業に従事している身として、
ユーザーを中心に据えて応える仕事のお手本を見た。
辛い境遇にありながらも、プロとして仕事で応える。
安い商品だしと軽い気持ちで修理の申し込みをした自分が恥ずかしかった。
どんな商品だろうがお客様の気持ちに全力で応える。
東京から修理を依頼した側にありながら、
宮城県栗原市の富士フィルムサービスセンターの社員には大切なことを学んだと思う。