Map of days

デザイン探検家の記録

【書評】フォークの歯はなぜ四本になったか―実用品の進化論

フォークの歯はなぜ四本になったか―実用品の進化論

フォークの歯はなぜ四本になったか―実用品の進化論

バウハウスの言葉で「形態は機能に従う」というのがある。
デザインを進める際に機能が物の形を決定していくという考え方。しかし本書は最初から道具の形態は決まっているもではないと説く。「形態は失敗に従う」という仮説の元に、フォークの歯の数をはじめ、紙を留めるクリップ、ジュース缶のフタなど様々な事例を挙げながら、モノの歴史と共に説いていく。

特にフォークの歴史には驚いた。フォークその物に、たかだか300年の歴史しかなく、しかも現在のような4本歯になったのは百数十年ほど前。フォークができる前は2本のナイフを使って食べていたという。テーブルマナーにうるさいフランス料理もそのくらいの歴史だったとは。本筋以外のところで感心してしまった。人々が物を使いこなしながら、徐々に改良を加えて現在のかたちになって行ったんだと言うことが良くわかる。トライアンドエラーを繰り返しながら、現在存在する道具達はまだまだ進化の途上だ。

この本は事例紹介が多く、内容も詳細な為、読み込みに時間がかかるが一つひとつじっくりと読みたい本。
アクシスフォーラムでTakram design engineering の田川氏が推薦してくれた本。 

[ 目次・構成・収録・内容(抜粋)]MILBOOKSより
まえがき
第一章 フォークの歯はなぜ四本になったか
第二章 形は失敗にしたがう
第三章 批評家としての発明家
第四章 ピンからペーパークリップへ
第五章 瑣末のモノもあなどれない
第六章 ファスナーが生まれるまで
第七章 道具が道具を作る
第八章 増殖のパターン
第九章 流行とインダストリアル・デザイン
第十章 先行するモノの力
第十一章 開けるより封じる
第十二章 ちょっと変えて大儲け
第十三章 良が最良よりも良いとき
第十四章 つねに改良の余地がある
訳者あとがき

参考文献