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デザイン探検家の記録

「骨」展 解剖学者・養老孟司とデザイナー山中俊治の対談

7月1日、六本木の21_21 DESIGN SIGHT で行われている「骨」展に行ってきた。
解剖学者・養老孟司とデザイナー山中俊治の対談。両人ともそれぞれ大変関心のある人たちで、そんな二人の対談とあって、またとないチャンスとばかりに話を聞いてきた。こちら
機能と構造における生物と人工物の違いなど、虫や人体の話を交えながら対談が行われた。
養老氏の豊富な知識と観察眼から来る鋭い意見、時に大胆な発言はとても面白かった。
虫の関節の構造はギザギザしていて動きがデジタル的なのに対し、人間の間接は滑らかでアナログ的。機能と構造は本来切り離せないもの。など解剖学者らしい実際の観察から発見してきたような発言の数々。また物事への思考の探求が大変深く、感じたことから思考への落とし込み、答えの導き方がとても面白かった。「バカの壁」の中に出てくるような論理展開を日常的に行っているのだと感じた。生き物は刻一刻と分子レベルで変化しているのに対し、工業製品は作られた時から基本的に変化しない。それは一瞬を切ることであり、ゆえにモノは古くなってしまう。

山中氏は工業デザイナーとしてとても好きな人。(山中俊治氏のブログ:デザインの骨格
山中氏のJR改札口のスイカタッチ部分のデザインについて。
自身のデザインの中で最も多くの人に触れられているプロダクト。開発当時タッチ部分の接触ミスが頻発したらしく、それを解決する為のデザイン依頼を受けたと言う。一発狙いで解決案を作るのではなく、数多くの実験を行って、失敗の中から見つけていったデザイン、そしてタッチ部分の傾き。
意図されて作られるものではなく、外側から決まっていくものがある。という考え方で双方一致していた。


展示内容も面白く、車の構造から、電気製品、時計、など複雑な機械の内容物を分解して展示したり、生き物の骨の構造、彫刻家、デザイナーや作家による作品展示など、骨格に関する様々なアプローチが面白かった。山中氏の洗練されていて理路整然としたセンスで構成された会場も良かった。