日本列島は梅雨に入った。
梅雨入りを待っていたかのようにあじさいがあちらこちらで咲いている。
京王井の頭線の線路沿いも色とりどりの紫陽花でうめつくされ、
走る電車の窓はあじさい色のグラデーション。スピードで変化する色の移り変わり。
紫陽花の花言葉は移り気と言う意味もあるそうだ。
実家の庭には白い紫陽花が咲いていた。
雲り空と雨続き、紫陽花の葉は深く生茂り、どんよりとした中にこそ生命力を増す。
鬱蒼とした茂みの中に、ぽっかりと光の穴が開いている。
それはまるで茂みの向こう側から光が射し込んでいるかのようだ。
深い緑の中に白い紫陽花の花が咲く。
太陽のない梅雨の世界で、白い紫陽花は何よりも明るく眩しい光を放つ。
